しん)” の例文
それがしんをなしてというのではないが、もとより無理算段でやった仕事だけに、たった一万円のために川上座は高利貸の手にられなければならなかった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この語はしんをなした。三島由紀夫は終戰とともに、非情な「殺人者」として登場したからである。もつともこの正體を世間が認識するまでには、相當の時日を必要とした。
克畏こくいしんを読めば、あゝおおいなる上帝、ちゅうを人にくだす、といえるより、其のまさくらきに当ってや、てんとしてよろしくしかるべしとうも、中夜ちゅうや静かに思えばあに吾が天ならんや
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
觥籌こうちゅう又何ぞ数えんといいて、快楽主義者の如く、希直きちょくは俗にして、いんしんに、酒のうれいたる、謹者きんしゃをしてすさみ、荘者をして狂し、貴者をしていやしく、存者そんしゃをしてほろばしむ、といい、酒巵しゅしの銘には
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)