竹簀たけす)” の例文
竹簀たけすの上に盛った手打ち蕎麦は、大きな朱ぬりのうつわにいれたものをぜんに積みかさねて出す。半蔵はそれを供の平兵衛に分け、自分でも箸を取りあげた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
監督が竹簀たけすへ粘土を入れて持って来た。続いて二人の坑夫が同じように重い竹簀を抱えて来た。工手がすぐにコテを取って鉄扉の隙間を塗込めはじめた。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
その仕方しかたは夏のすゑより事をはじめて、岸根きしねより川中へ丸木のくひたてつらね横木よこきをそえ、これに透間すきまなく竹簀たけすをわたしてかきのごとくになし、川の石をよせかけてちからとなす。長さは百けん二百間にいたる。
と、そこの竹簀たけすたらいや手拭を供えて、うずくまった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)