童部わらべ)” の例文
その道理が童部わらべに通じたと云うよりは、所詮この沙門と打ち合っても、勝てそうもないと思ったからでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
されば町を行けば、心ない童部わらべあざけらるるは元より、刀杖瓦石たうぢやうぐわせきの難にうた事も、度々ござるげに聞き及んだ。
奉教人の死 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あるいはまたもの見高い市女笠いちめがさやらが、かずにしておよそ二三十人、中には竹馬に跨った童部わらべも交って、皆一塊ひとかたまりになりながら、ののしり騒いでいるのでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
童部わらべはこう何度もわめきましたが、鍛冶はさらに正気しょうきに還る気色けしきもございません。あの唇にたまった泡さえ、不相変あいかわらず花曇りの風に吹かれて、白く水干すいかんの胸へ垂れて居ります。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)