空所あき)” の例文
円陣の一所へ空所あきができてそこからさし出ている燈火の光が、襖のほうへ届いて行って、そこにくっついている例の武士の腰から踵までを光らせている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
廣告が少くて第四面に空所あきが多く、活字が足らなくて假名許り澤山使ふから、見るから醜い新聞であつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
わずかにとった真ん中の空所あきに、投げつけられたような櫛まきお藤の姿がふてぶてしくうつぶしていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
案内に来た青年は馬方うまかたで、馬力ばりきの荷物のうしろの方に空所あきを作って、そこに座布団を敷いて、三味線と、下駄を抱えた女を乗せると、最新流行のスットントン節を唄いながら
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
給料の支払が何日いつでも翌月になるとか云ふ噂、職工共の紛擾ごたごたが珍しくなく、普通あたりまへの四頁の新聞だけれど、広告が少くて第四面に空所あきが多く、活字が足らなくて仮名許り沢山使ふから
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)