空念仏からねんぶつ)” の例文
天晴あっぱれ武門の柱石ちゅうせきと任じております。勝とう勝とうは武門の空念仏からねんぶつ。ひとりぐらいは、負けかたの良ししを考える御家臣もあってよろしいでしょう」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宗教家などにはそういう嘘をく人が往々おうおうある。これは空念仏からねんぶつといって我輩の取らざるところのものである。
始業式に臨みて (新字新仮名) / 大隈重信(著)
ほかにこれといった取柄とりえもないとあきらめているかれは、しょっちゅう彼女に結婚けっこんを申込んで、ほかの男の言うことは、要するに空念仏からねんぶつに過ぎないと、ほのめかすのであった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
いままでのような空念仏からねんぶつでなくなったときだった。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
また各国の欲望はその国家の利害に依って違うから、正義人道というのもあるいは空念仏からねんぶつになりはしないかと恐れるのである。しかしながら既に端を開いたのである。
始業式訓示 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
なるほど非凡人主義の人達は口が達者で、議論が好くて、処世の講義はうまかったかも知れないが、これは福沢先生の口調をりて申せば、いわゆる空念仏からねんぶつで実際出来ない事をいうのだ。