穴居けっきょ)” の例文
……しかし久しい間、つい隣国に、こんどりになった虎が穴居けっきょしておりましたので、折々、好まぬ相手にもなっておりましたが
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
横へ逃げれば、まだ今のうちなら、無限にちかいほど、逃げていく場所があります。そのうち、どこかで落ちついて、穴居けっきょ生活を始めるんですよ
広さは八畳ほどもあるでしょうか、四ほうの壁は、ゴロゴロとした大きな石でつみあげてあって、地下室というよりも、大昔の穴居けっきょ時代の穴ぐらといった感じです。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
山の向うに穴居けっきょしている、慓悍ひょうかんの名を得た侏儒こびとでさえ彼に出合う度毎に、必ず一人ずつは屍骸しがいになった。彼はその屍骸から奪った武器や、矢先にかけた鳥獣を時々部落へ持って帰った。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
巡査は再び窟に入って、穴居けっきょの𤢖を捕獲すべく決心したのも無理ではなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
市坊しぼうの裏や場末には、今なお、あちこちに、穴居けっきょの民からいくらも進んでいない貧しい部落と未開土みかいどを、まだらにかかえていることがわかる。
遂に上下谷じょうげきわまって横に向いて逃げるうち、このところに安全洞あんぜんどうを見出して、穴居けっきょ動物となりてたことが分りました。
そこでその𤢖なるものは元来何であるかと云うと、大和民族の我々よりも早く既にの本土に棲んでいた人種で、其中そのうちにはアイヌもありましょう、所謂いわゆる土蜘蛛という穴居けっきょ人種もありましょう
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし月世界に生物が全く居ないわけではない。この世界にもやっぱり数億人の生物が住んでいるのだった。彼等は皆、月の地中深く穴居けっきょ生活をしているのだった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すなわち、アトランティス大陸には、当時穴居けっきょ民族があったことを指摘したい。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)