かさ)” の例文
私はもうその位の経験はかさねていると信じて居りますから。歴史の或時の業績の中から積極的なものがちゃんと引出されるのは当然であり、悦びです。
今や史料はかさなり、技術家は揃い、思索者は集る。この団体から何か力が出ないであろうか。今日までの学者は直観の体験にうとく、今日までの作者は思想の内省に乏しい。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
この悩みぬいている玄石の心の上へ、都市計画の進行は、もう一つの苦しみをかさねた。
二人の盲人 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
蛇窪無産者託児所と白地へ黒ペンキで書いた標識は、土管のかさねてある側、溝からは一間以上も引こんだ場所に、通行人の注意をひくように往来へ向って立ててあったはずである。
乳房 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)