碓氷川うすいがわ)” の例文
おおそうそう、月参講げっさんこうの連中が大勢泊った日でしたなあ。御一緒に青い梅のなった樹の蔭を歩いて、あの時、ソラ碓氷川うすいがわい声がしましたろう。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
郵便局を出てから碓氷川うすいがわのほうへあるいた。——曇ったままにしてうす日がさして来た。
春深く (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
逗留客が散歩に出る。芸妓げいしゃが湯にゆく。白い鳩がをあさる。黒い燕が往来おうらいなかで宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く。ふくろうが鳴く。門附かどづけの芸人が来る。碓氷川うすいがわ河鹿かじかはまだ鳴かない。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あの塩分の強い濁った礦泉こうせんの中に浸りながら、碓氷川うすいがわの流れる音でも聞いて、遠い旅から疲れて帰って来た身も心をも休めたいという楽みがあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
逗留客が散歩に出る。芸妓げいしゃが湯にゆく。白い鳩がえさをあさる。黒いつばめが往来なかで宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く、ふくろうが鳴く。門付かどづけの芸人が来る。碓氷川うすいがわ河鹿かじかはまだ鳴かない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
磯部いそべの三景楼というは、碓氷川うすいがわの水声を聞くことも出来て、信州に居る時分よく遊びに行った温泉宿だ。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)