硝薬しょうやく)” の例文
旧字:硝藥
「それがしの領土に住む、名もない老鍛冶屋ろうかじやが発明したもので、硝薬しょうやくを用い、大石を筒にこめて、飛爆させるものであります」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たちまち狙を外らすや否や、大夫人を射て、倒して、硝薬しょうやくの煙とともに、蝕する日のおもてを仰ぎつつ、この傲岸ごうがんなる統領は、自からその脳を貫いた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
支度したくもかいがいしく四人は、旋条銃せんじょうじゅう二個、短銃四個、おの二個、硝薬しょうやく若干じゃっかん懐中磁石かいちゅうじしゃく一個、毛布数枚、ゴム製の舟、そして二日分の食物を携帯けいたいして、一同の見送りをうけた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
大木、大石、油柴ゆしば硝薬しょうやくなどが、轟々ごうごうと、左右の山から降ってきた。馬も砕け、人もつぶされ、阿鼻叫喚あびきょうかんがこだました。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぎさで、お誓を抱いた時、惜しや、かわいそうに、もういけないと思った。胸に硝薬しょうやくのにおいがしたからである。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また硝薬しょうやくの少ないかれらは硝薬も要求するだろう、諸君はかれらのこの要求が入れられるか
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
光秀は、鉄砲を撃つわざよりも、鉄砲の製作、解体、硝薬しょうやくなどの学問に詳しかったし、自分の自信もそれにあったが
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
バクスターが苦心してつくった車に、ガーネットとサービスが、かいならした二頭のラマをつけ、車の上には硝薬しょうやく、食料、鉄の大なべ、数個のあきだるをのせ、勇みに勇んで左門洞を出た。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
轟然ごうぜん、どこかで一発の石砲がとどろいた。その砲声からしてすでに北国にはない強力な硝薬しょうやくの威力を示している。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火煙を吐くのも、咆哮するのも、また進退するも、すべて内部に仕掛けてある硝薬しょうやくと機械の働きだった。もちろん前代未聞の新兵器で、孔明の考案によるものである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに、ズドーンという硝薬しょうやくのひびき。まとを狂わせて天空へ音波をゆすッた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隼人は、のろし筒と、硝薬しょうやく入れとをそこへ出して、茂助に伝授していた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「気をつけろ、中に、硝薬しょうやくがあるッ」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)