石造いしづくり)” の例文
して一般の低地は商人街あきんどまちである。王宮は立派な近年の建築であるが、さびの附いて居ない白い石造いしづくりには難有ありがた味が乏しい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
向うの窓際に在る石造いしづくり浴槽ゆぶねから湧出す水蒸気が三方の硝子ガラス窓一面にキラキラとしたたり流れていた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その玄関のともしびを背に、芝草と、植込の小松の中の敷石を、三人が道なりに少しうねってつたわって、石造いしづくりの門にかかげた、石ぼやの門燈に、影を黒く、段を降りて砂道へ出た。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんでも其の頃は未だ世の中が開けぬ時分でございますが、当節は追々開けてまいり、仕合せの事には大火という者がとんとございません、是は家造やづくりが石造いしづくりあるい店蔵みせぐらに成ったり
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
近き家家いへいへ石造いしづくりの心地し
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)