石級せききゅう)” の例文
これらの石級せききゅう磴道とうどうはどうかすると私には長崎の町を想い起すよすがともなり得るので、日和下駄の歩みもあやうくコツコツと角の磨滅した石段を踏むごとに
路傍に石級せききゅうあり。そのいただきに寺の門立ちたり。石級の傍別に道を開きて登るにやすからしむ。登れば一望たちまち曠然として、牛込赤城うしごめあかぎ嵐光らんこう人家を隔てて翠色すいしょくしたたらむとす。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
西洋の都市においても私は紐育ニューヨークの平坦なる Fifth Avenue よりコロンビヤの高台に上る石級せききゅうを好み、巴里パリー大通ブールヴァールよりもはるかにモンマルトルの高台を愛した。