短笛たんてき)” の例文
机竜之助はあちらを向いて短笛たんてきもてあそぶと、それと六枚折りの屏風一重を隔てたこちらで、お銀様がそうの琴を調べます。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
伊賀流いがりゅう忍者にんじゃ菊池半助きくちはんすけと、果心居士かしんこじのおしえをうけた木隠龍太郎とが、双方そうほう、水のごとくたいしたとき、しずかな耳をきぬくように、一せい短笛たんてきがつよく流れた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一月寺の貫主かんすは年のうち大抵、江戸の出張所に住んでいる。院代いんだいがいるにはいるが、これはほとんど寺のことには無頓着で、短笛たんてきろうして遊んでいる。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おりこそあれ、短笛たんてき
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
枕許の水差を引寄せて、水をグッと一口呑んだ時に、つい隣の部屋で、思いがけなく短笛たんてきの音が起りました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
父が尺八の師であった青梅鈴法寺れいほうじの高橋空山が、ふと門附かどづけに来て吹いた「竹調べ」が、ついにわが父をして短笛たんてきというものに、浮身をやつすほどのあこがれを持たしめてしまったことです。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あれは、どこから響いて来ますか、あの短笛たんてきの音は……」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)