瞬間またたくま)” の例文
観世音かんぜおん四萬三千日、草市、盂蘭盆会うらぼんえ瞬間またたくまに過ぎ土用の丑の日にも近くなった。毎日空はカラリと晴れ、市中はむらむらと蒸し暑い。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山山鳴動して峰の雪、こずえの雪、谷の雪、一斉に舞立つ折は一寸先見え難く、瞬間またたくまみちうずめ、はぎうずめ、鼻のあなまで粉雪吹込んで水におぼれしよりまだ/\苦し
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
諸大名方へのお出入りも出来、内弟子外弟子ひっくるめると、およそ千人の門弟が瞬間またたくまに出来上ってしまいました。
正雪の遺書 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
死骸は狼に喰い裂かれ、後へ残ったのは襤褸ぼろばかりであった。しかしそれさえ雪に蔽われ瞬間またたくまに消えて行った。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
左門へ立ち向かっては子供のようにあしらわれる頼母ではあったが、本来がすぐれた腕前、博徒や用心棒に対しては段違いに強く、瞬間またたくまに四人を斃し、二人を追い、二人を生擒とりこにしてしまったのである。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鬼王丸は喜んで刀工場に建て増しをして、瞬間またたくまに造ったので、爾来じらい彼は毎日のようにその工場へ出かけて行き、大砲を作る土台だと云って小さい細々こまごました機械類を幾個いくつかこれまでにこしらえたのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)