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眴
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めくば
ふりがな文庫
“
眴
(
めくば
)” の例文
「なんだい、あの音は」食事の
箸
(
はし
)
を止めながら、耳に注意をあつめる
科
(
しぐさ
)
で、行一は妻に
眴
(
めくば
)
せする。クックッと含み笑いをしていたが
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「な……何をするんだ!」と私は呆気に
奪
(
と
)
られたが、ユアンは私に
眴
(
めくば
)
せしながら人差指を自分の唇に当て、黙っていよ、という素振りをした。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と、重蔵も千浪に
眴
(
めくば
)
せして、素気なく席を立ち上がり、引き止める間もなくスススと廊下のむこうへ出て行ってしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とにかくセリファンと
眴
(
めくば
)
せをした時には、いつもの気難しい顔が、どうやら少しは晴れやかになったように思われた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
大殿樣は又言を御止めになつて、御側の者たちに
眴
(
めくば
)
せをなさいました。それから急に苦々しい御調子で
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
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が、すべての眼は、他の眼と
眴
(
めくば
)
せもせずに、侯爵閣下を眺めた。たぶん、彼には良心を悩ます幽霊などというものがいるかどうかということを観察するためであったのだろう。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
腰元たちは互いに
眴
(
めくば
)
せをし頷き合った。女性たちの間にあって自分が誰よりも深く熱烈に愛されているなどと宣言することは月評家たちの前で自作の朗読をする小説書き同様からきめに遭う。
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すぐうしろにいる兵隊の方へ軽く
眴
(
めくば
)
せしてから
十三夜:――マニラ籠城日記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
大殿様は又言を御止めになつて、御側の者たちに
眴
(
めくば
)
せをなさいました。それから急に苦々しい御調子で
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
御方のあわただしい
眴
(
めくば
)
せにグッと後の語句をのんで、
険
(
けわ
)
しい二人の雲行きを側からじっとみつめていると、重左は老骨の頑固さを、くわッと
瞋
(
いか
)
らせた眼に現して
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真黒な濃い眉をした検事は、まるで『おい、君、あちらの部屋へ行こう、ちょっと話があるから』とでも言うように、左の眼で絶えず
眴
(
めくば
)
せをしているような癖がある。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
と、のッけから、散々に我鳴り立てるので、独鈷の仁三が、しきりに
眴
(
めくば
)
せした
効
(
かい
)
もなかった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二弦
(
にげん
)
の手軽なバラライカで、その音も
床
(
ゆか
)
しい
爪弾
(
つまびき
)
を聴きに集まる、胸や
首筋
(
くびすじ
)
の白い娘たちに
眴
(
めくば
)
せをしたり、口笛を吹いたりする、あの
二十歳
(
はたち
)
前後のおしゃれで
剽軽
(
ひょうきん
)
な若者たちの
装飾
(
かざり
)
でもあり
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
眴
部首:⽬
11画
“眴”を含む語句
目眴
見眴
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