相方そうほう)” の例文
万事が金銭上の義理ばかりでなくて相方そうほうの好意から自然とお糸は葭町へ行くようにれがいるともなくきまっていたのである。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「金のある女など、きらいだ。いかにいわれても、どうにもならん。その、どうにもならんことに相方そうほういろいろとことばをつくすのは、愚じゃ。よそう」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
難儀をなさるだろうといっていちいち挨拶をしていたら際涯はてしがないだろう、それよりか、俺は俺の田地の減らぬようせっかく倹約をする方が、相方そうほう厄介なしで心安いというものだ。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
同時に相方そうほうで、Y・O・Rの旗を上げる。「多謝サンキュウ」である。そして、れ違う。
兎角とかくする中に慶三もお千代も何方どっちからが手を出すとも知れず、二人は真暗な中に互に手と手をさぐり合うかと思うと、相方そうほうともに狂気のように猛烈な力で抱合った。
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)