盆灯籠ぼんどうろう)” の例文
旧字:盆燈籠
すすけた、かびの臭いとも、ほこりの臭いともつかないような、妙な臭いのしている部屋の中にお盆灯籠ぼんどうろうのような、真鍮しんちゅうの吊ランプが一つ、ほの暗い光をなげていた。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
あるいは屋敷の門口もんぐちに立ててある瓦斯灯ガスとうではないかと思って見ていると、その火がゆらりゆらりと盆灯籠ぼんどうろうの秋風に揺られる具合に動いた。——瓦斯灯ではない。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
向うは往来おうらい三叉みつまたになっておりまして、かたえは新利根しんとね大利根おおとねながれにて、おりしも空はどんよりと雨もよう、かすかに見ゆる田舎家いなかや盆灯籠ぼんどうろうの火もはや消えなんとし、往来ゆきゝ途絶とだえて物凄ものすご