痴児ちじ)” の例文
狷介けんかい不覊ふきなところがある。酒を飲めば、大気豪放、世の英雄をも痴児ちじのごとくに云い、一代の風雲児をも、野心家の曲者しれもののごとくそしる。
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
常磐——という一言ひとことを聞くだけでも、彼の血、皮膚、髪は恋しさにおののきうずいた。その胸の中のものを公朝に指されたとたんに、彼は何の見得みえもない一個の痴児ちじとなって
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(この痴児ちじ、今の乱世に生れて、どうして国を持って、生きてゆけるだろうか?)
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いっその事、天譴てんけんがあらわれて、こんな痴児ちじはみな、海嘯つなみさらわれてしまえ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)