痩脛やせずね)” の例文
(と立つ。脊高き痩脛やせずね破股引やれももひきにて、よたよた。酒屋は委細構わず、さっさと片づけて店へ引込ひっこむ。)えい。(よたよた。やがて人形の前までよたよたよた)
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老いた人々の、痩脛やせずねも、肋骨あばらも、露わにしての抗争あらそいは、見ている藤吉に、地獄——という言葉を想わせた。
誰も居ない浪打際を、生白い痩脛やせずね高端折たかはしょり跣足はだしでちょびちょび横歩行あるきで、日課のごとき運動をしながら、つくづく不平らしく、海に向って、高慢な舌打して
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひたすら痩脛やせずねをカッとばして来たのだが、やはり泰軒は与吉の脱出を知らずに、柳屋の裏座敷で大いびきをかいていたものとみえ、とうとう与吉がこの中村に着くまで
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
対向さしむかいの三造は、脚絆きゃはんを解いた痩脛やせずねの、疲切つかれきった風していたのが、この時遮る。……
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)