その玄奘三蔵げんじょうさんぞうというお坊さんは本当にいた人なんだよ。その坊さんの書いた本もお父さまは持ってるよ。印度へお経を
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
さきほど玄奘三蔵げんじょうさんぞう渡天の苦しみがどうの、なあに、同じ日本の国の信濃の国内がどうのと広言を吐いたそれがどうしたと、斯様かようにお叱りをこうむるかも知れませんが、それはそれでございまして
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この功徳くどくがもしすぐれているならば、師への報恩にもなるわけである。たとい渡海の間に死して目的が達せられなくとも、求法の志をもって死ねば本望と言ってよい。玄奘三蔵げんじょうさんぞうの事蹟を考えてみよ。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
今よりちょうど一千二百八十余年以前まえ、かの三蔵法師で有名な中国の玄奘三蔵げんじょうさんぞうが翻訳されたもので、今日、現に『心経』の訳本として、だいたい七種類ほどありますが、そのうちで『心経』といえば
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
かの唐の太宗の命を受けて印度に向った玄奘三蔵げんじょうさんぞうが、流砂りゅうさを渡り葱嶺そうれいを越えた苦難の旅も、これほどではあるまいと思われた。三蔵のは求法ぐほうのための困苦である、それは自他の利益もあったであろう。
この絵は宋初そうしょのものとされているので、本当の玄奘三蔵げんじょうさんぞう法師が、とう太宗たいそう貞観じょうがん三年に長安ちょうあんの都を辞して、遥々はるばる印度への旅についた頃から見ると、三百年くらいも後に描かれたことになる。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)