獅子奮迅ししふんじん)” の例文
きょうよりは明日と物凄ものすごい加速度を以て、ほとんど半狂乱みたいな獅子奮迅ししふんじんをつづけ、いよいよ切り換えの騒ぎも、きょうでおしまいという日に
トカトントン (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼はまたこれがために、今やドイツ人の暴虐を懲罰せんがため、獅子奮迅ししふんじんの勢いをもって軍国の大事に当たりつつある。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
かわす、跳びさがる——、さすがの彼も新九郎の獅子奮迅ししふんじんあしらい疲れて、またジリジリと浮腰になった刹那、木の根の濡苔ぬれごけを踏んでふらりとなったところへ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
獅子奮迅ししふんじんの勢いで暴れまくる。危険など眼中にない。人を救うために、自分の命を棄ててかかったようだ。おまけに、誰もしてみろといわないのに水の中へ頭を突っ込む。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「ウヌ!」獅子奮迅ししふんじんにとびついてくると一平を軽く左に外すと、再び一平が立ち直ってくるその頤のあたりを、ウーンと下から突きあげたアッパー・カット美事にきまって
ネオン横丁殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
能登守の獅子奮迅ししふんじん振りを見ていた新中納言知盛が、使いを送って止めさせた。
とも、何の合図もないまに、義元以下、営中の幕僚たちは、いきなり獅子奮迅ししふんじんの敵影を、眼のまえに見たのである。内乱か、謀叛むほんか、と、疑ったのも無理な狼狽ではなかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「我は人なり、人間の事とし聞けば、善きも悪しきも他所事よそごととは思われず、そぞろに我が心を躍らしむ。」とばかりに、人の心の奥底を、ただそれだけを相手に、鈍刀ながらも獅子奮迅ししふんじんした
八十八夜 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「こんな鮮やかに勝っている戦争をなんで変更せよというのか。あのとおり獅子奮迅ししふんじんのすがたを見せている勇将へ、退けなどといったら、全軍の戦意も萎えてしまう。そちは口を閉じて見物しておれ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし彼の獅子奮迅ししふんじんぶりに、味方もつづききれなかった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、武大を待つ間の持久戦に獅子奮迅ししふんじんしていると
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)