猛吼もうく)” の例文
血をみて発作的にふるいあがった声——獣性も人もけじめなきかを思わする兇暴なる挑戦の猛吼もうく
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いったと思うと、魯智深は後ろに廻していた縄目をばらッといて、禅杖へ手を伸ばすやいな、猛吼もうくせい、階を躍り上がって、のける鄧龍の真眉間まみけんを打ちくだいていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、三平の猛吼もうくは、たッた一吠えだけだった。おそらくお島が抱きもどしたものであろう。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その猛吼もうく飛跳ひちょうも次第に弱まり、いくたびか棒をんだが、その棒テコでも苦闘に落ちる。武松は迫って、また白額しろびたいの毛の根をつかみ、十二十打の鉄拳をつづけさまにくだした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猛吼もうくして立ち上がり、いきなり群衆を割って、往来へあらわれて来たものらしい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを刺叉さすまたにひッかけようとすると、いわゆる猛吼もうく一声というやつ、ウオオッと背を怒らし、矢を負ったままな大虎の影は、彼方の谷崖たにがけの下へ、どどどと雷雲のころがるように落ちて行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、獣王のように猛吼もうくした。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)