状貌じょうぼう)” の例文
哲学者風の重厚沈毅ちんきに加えて革命党風の精悍剛愎が眉宇びうあふれている状貌じょうぼうらしく考えていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
状貌じょうぼう醜怪しゅうかいなるに九助大いに怖れを為し、是やかねて赤倉に住むと聞きしオホヒトならんと思ひ急ぎ遁げんとせしが、過ちて石につまずき転び落ちて、かえりて大人の傍に倒れたり。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
獣は半身を波にかくして、わずかにその頭角をあらわしているばかりであった。また一人、その状貌じょうぼうすこぶる怪偉なるものが、かの獣の尾を口にくわえて、あとに続いてゆくのである。
然るにいよいよ新任提調として出頭するや、一同は皆瀟洒しょうしゃたる風流才人を見るべく想像していたに反して、意外にも状貌じょうぼう魁偉かいいなる重厚沈毅ちんきの二葉亭を迎えて一見忽ち信服してしまった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)