犯跡はんせき)” の例文
四宮理学士の絞殺も同一手段で行われたのであったが、学士が女史の犯跡はんせきを握っていたので、むをず殺害したものらしい。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
翌る日、八五郎が八丁堀の組屋敷で調べた熊井熊五郎の犯跡はんせきを、半紙三枚ほどに書き連ねたのを持つて來ました。
「どうしたらかろう。」と、彼は犯跡はんせき湮滅いんめつついて考えた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ただ犯跡はんせきが明白にわからないのと、君が前から海龍倶楽部の一員として活躍し相当彼等のためにもなっているところから、たとえ間諜スパイでも今殺すのは惜しいものだと躊躇ちゅうちょしているのだよ。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「顔の皮をいだのは、犯跡はんせきくらます為でしょうか。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
だが第三の惨劇で、いよいよこれ迄の犯跡はんせき曝露ばくろしそうになったのをみてとった彼等二人は、朝の太陽が東の地平線から顔を出す前にこのカフェから手をたづさえて遁走とんそうしてしまったのである。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)