牧野まきの)” の例文
ある静かな雨降りの、おれん牧野まきのしゃくをしながら、彼の右の頬へ眼をやった。そこには青い剃痕そりあとの中に、大きな蚯蚓脹みみずばれが出来ていた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
志賀しがに居る友達に相談して見るより外に道が無くなつた。牧野まきのさんこそは真実ほんたうに私の力に成つて呉れさうな人だ。私は一週間もそのことを考へた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まず第一の参考として牧野まきの氏著「植物図鑑」を携帯して行って、少しずつ、草花の名前でも覚えようと企てた。
沓掛より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その時には誰でも——ただいま牧野まきの伸顕のぶあき〕文部大臣が御話しになったように、政府万能主義の時代である。何か仕事をしようといえば政府に入らなければならぬ。
呼出よびいだされて其方は江戸表へ兩人を同道どうだうなしやしき連參つれまゐ御用状ごようじやうを御月番の老中方へ差出し御下知次第掛の奉行へ兩人を引渡し候上ふたゝ旅行りよかう先へ來るべしと申付られ又給人牧野まきの小左衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼女は犬の事ばかりか、いまだにわからない男の在りかや、どうかすると顔さえ知らない、牧野まきのの妻の身の上までも、いろいろ思い悩んだりした。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
れんに男のあった事は、牧野まきのも気がついてはいたらしかった。が、彼はそう云う事には、頓着とんちゃくする気色けしきも見せなかった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)