牛酪ぎゅうらく)” の例文
それぞれに馬車の中へかつぎ込んで、牛酪ぎゅうらくや、骨羹こっかんなぞいう上等の滋養分を与えながら、来がけよりも一層ユックリユックリした速度で、故郷へ連れて帰るのです。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「なるほど」と検事は皮肉に笑って、「五月になれば、林檎りんごの花が咲き、城内の牛酪ぎゅうらく小屋からは性慾的な臭いが訪れて来る。そうなれば、なにしろ亭主が十字軍に行っているのだからね。 ...
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
また十節—十二節は「汝は我を乳の如くそそ牛酪ぎゅうらくの如くに固め給いしにあらずや、汝は皮と肉とを我に着せ骨とすじとをもて我をみ、生命いのち恩恵めぐみとを我に授け我をかえりみてわがいきを守り給えり」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
それから豚の仔を丸ごと油で煮たのや、山羊の吸物の鍋や、干菜かんさい牛酪ぎゅうらくで煮つけた物だの、年数のかかった漬物だの——運ばれてくるごとに、三名は、その豪華な珍味の鉢や大皿に眼を奪われた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十荷じっか酒瓶さかがめを用意し、干魚、乾貝ほしがい、川魚、鳥肉、果実、牛酪ぎゅうらく、菜根など、あらゆる珍味を調理して、当日の盛餐せいさんにそなえた。——おそらく、この館の古い厨房が始まって以来の煮炊きであったろう。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)