爪痕つめあと)” の例文
クリストフはもう愛すまいとし、恋愛を——しばらくの間——軽蔑けいべつしようとしたが、甲斐かいがなかった。彼は恋愛の爪痕つめあとを受けていた。
暴出あれだすお島を押えたために、可也興奮させられて来た鶴さんは、爪痕つめあとのばら桜になっている腕をさすりながら、たばこふかしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
このこと一つでも、かの草心尼母子おやことは、おなじ母子でもり方がちがっていた。それと藤夜叉には道誉という魔の男の爪痕つめあとが深いいたでになっている。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
逞しい四十男(ついに名はわからなかった)が躯じゅう爪痕つめあとだらけになり
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)