爛熟らんじゆく)” の例文
少し呶鳴りちらすやうな調子で、ガラガラとまくし立て乍ら、部屋の中へ入つて來たのは、パツと咲ききつたやうな、爛熟らんじゆくした大年増でした。
やがてみのころよ。——就中なかんづくみなみ納戸なんど濡縁ぬれえん籬際かきぎはには、見事みごと巴旦杏はたんきやうがあつて、おほきなひ、いろといひ、えんなる波斯ペルシヤをんな爛熟らんじゆくした裸身らしんごとくにかをつてつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爛熟らんじゆくし切つた歡樂の底から、ホロ苦い母性がよみがへつたのでせう。