煤竹すすたけ)” の例文
弁信が鈴慕の一曲を聞き終って、ホッと息をついた時に、天井の煤竹すすたけ簀子すのこから、自在竹を伝ってスルスルと下りて来たピグミーがありました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その石と石との間に羊歯しだの若葉がひろがっている。煤竹すすたけの濡縁の前に、朴訥ぼくとつな丸石の手洗鉢があり、美男かつらがからんで、そこにも艶々した新しい葉がふいている。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
飛白かすりの筒袖羽織、禿びた薩摩下駄さつまげた鬚髯ひげもじゃ/\の彼が風采ふうさいと、煤竹すすたけ色の被布を着て痛そうにくつ穿いて居る白粉気も何もない女の容子ようすを、胡散うさんくさそうにじろじろ見て居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
人声がにぎやかなので、往って見ると、ひささんの家は何時いつの間にか解きくずされて、すすけたはり虫喰むしくった柱、黒光りする大黒柱、屋根裏の煤竹すすたけ、それ/″\るいを分って積まれてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)