焼傷やけど)” の例文
旧字:燒傷
彼の頭が、薬罐やかんのように、赤くてかてかと禿げているのも、実は焼傷やけどの跡ではなくて、その頃に引き受けた悪い病気の名残りなそうである。
再度生老人 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
悪魔は不意を打たれて、手やら足やら顔やら焼傷やけどをしました。けれども、そんなことには閉口しません。
豆小僧の冒険 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
その時の名残なごりの焼傷やけどあとが残っていて、右足の指が五本とも一つにくっついてのっぺりしていた。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
「でも洋服だからよかつたのです。これが和服だつたら身体中からだぢゆう焼傷やけどをするところでした。」
うらんで出やしないだろうか、火箸で焼傷やけどをして困っていやしないだろうか、枕の所にあの何とも言えない色をした蛙が来ているようで、私蒲団ふとんを頭からすっぽりかぶって明朝は早く起きて
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
私達はその男をボートの中に引き上げてみると、それは、ハドソンと云う若い水夫であった。彼はひどく焼傷やけどをし、ひどくつかれていたので、翌朝まで何事が起きたのか彼から聞くことは出来なかった。
彼は、胸と顔面と、両手とを、ひどく焼傷やけどしたきりであった。
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)