トップ
>
無何有
>
むかう
ふりがな文庫
“
無何有
(
むかう
)” の例文
室内はあらゆる人間の五感に負担を与えるものを
無何有
(
むかう
)
の彼方にほろぼし去ってただ味覚へばかりの集中へ誘う——聖なる食魔達の登壇。
食魔に贈る
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
唯昔の苦行者のやうに
無何有
(
むかう
)
の砂漠を家としてゐる。その点は成程気の毒かも知れない。しかし美しい蜃気楼は砂漠の天にのみ生ずるものである。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あたかもかの夢想兵衛が
飄飄然
(
ひょうひょうぜん
)
として
紙鳶
(
たこ
)
にまたがり、天外万里
無何有
(
むかう
)
の郷に漂着したるの想いをなすならん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
この心地は、かの我を忘れて、
魂
(
たましひ
)
無何有
(
むかう
)
の境に
逍遙
(
さまよ
)
ふといふ心地ではない。謂はゞ、東雲の光が骨の中まで沁み込んで、身も心も水の如く透き徹る樣な心地だ。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
普門品
(
ふもんぼん
)
、大悲の
誓願
(
ちかい
)
を祈念して、下枝は気息
奄々
(
えんえん
)
と、
無何有
(
むかう
)
の里に入りつつも、
刀尋段々壊
(
とうじんだんだんね
)
と唱うる時、得三は白刃を取直し、電光
胸前
(
むなさき
)
に
閃
(
きらめ
)
き来りぬ。この景この時、室外に声あり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
旦暮
(
たんぼ
)
に死するも
亦
(
また
)
瞑目
(
めいもく
)
すと言ふべし。
雨後
(
うご
)
花落ちて
啼鳥
(
ていてう
)
を聴く。
神思
(
しんし
)
殆
(
ほとん
)
ど
無何有
(
むかう
)
の
郷
(
さと
)
にあるに似たり。即ちペンを走らせて「わが家の古玩」の一文を
艸
(
さう
)
す。
わが家の古玩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分は唯
恍
(
くわう
)
として之に見入つた。この心地は、かの我を忘れて魂
無何有
(
むかう
)
の境に
逍遙
(
さまよ
)
ふといふ心地ではない。謂はば、東雲の光が骨の中まで沁み込んで、身も心も水の如く透き徹る様な心地だ。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“無何有”で始まる語句
無何有郷
無何有郷裡