焚出たきだ)” の例文
それとは反対にその家が火災水災にあい、多くのそとの人がきて働いてくれた時にも、成功不成功にかかわらず、やはり焚出たきだしの握飯むすびと酒とがでた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
女たちにはドンドン焚出たきだしをさせ、子供達には矢だまを運ばせ、老人達には女子供を、監督させることにした。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
階下したへ降りますと御飯から立つ湯気のが夜の家いつぱいに満ちて匂つて居ました。これは竹村たけむらと云ふ姉の家へ贈る弁当の焚出たきだしをして居るからなのでした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
で、彼等は気をとりなほして万歳を三唱し、直ぐに思ひ思ひの所に散らばつて焚出たきだしの握飯をほゝばつた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
それらの百姓たちの差図や焚出たきだしなどをはじめて上を下へと騒いでいるのが、竜之助には手に取るようにわかりますけれど、誰も竜之助のところへはかおを出すものがありません。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)