為政者いせいしゃ)” の例文
しかし保元、平治以来このかたの戦つづきに、歌人などは、まったく、無用の長物と忘れ去られて、ことに、為政者いせいしゃの眼からは
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちがった信仰をもつ為政者いせいしゃが、単なる殖産政策の立場から、すすさとして神山の樹をらせ、それを開墾して砂糖黍さとうきびなどをえさせ、鼠の居処をせばめて
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
情に負けずに、不断に張り切っていなければならぬ為政者いせいしゃとしての冷厳な心を取り返して、荒々しく叱りつけた。
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
そしてそれは為政者いせいしゃの力でも阻止出来ない場合も起り得るということは、歴史の示す通りである。
千里眼その他 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
天網恢々疎てんもうかいかいそにしてもらさず」なんて、あれはきっと昔からの為政者いせいしゃ達の宣伝に過ぎないので、或は人民共の迷信に過ぎないので、その実は、巧妙にやりさえすれば、どんな犯罪だって
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
『仕置』は実に後世為政者いせいしゃの金科玉条として遵守じゅんしゅする所のものであります。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
為政者いせいしゃの心すべきところだ。それだのに殿は——。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
法師は決して悲鳴をあげなかった、そんなにされても、時折、慨然がいぜんと元気な声を張って、為政者いせいしゃの処置を罵り、そして手先になっている侍たちを、嘲殺ちょうさつするように笑ったりした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)