点心てんじん)” の例文
旧字:點心
禅家で点心てんじんというが、一片の食を投じて、霊肉の腐乱ふらんすくうという意味通りの役を、この一口の湯が、兵馬のすべてに向って与えたようです。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
窓々のどつしりした絢爛けんらんな模様の緞子どんすのカーテンが明暗を調節した瀟洒せうしやな離れの洋館で、花に疲れた一同は中央の真白き布をしたテエブルに集まつて、お茶を飲み、点心てんじんをつまみ
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
時にとってのよい点心てんじんになるかも知れない、と思ったけれど、あたりに鉄瓶てつびんもなければ、火鉢もない——ああ、やっぱり寝ていた方がいいなと思いました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
例の慢心和尚はこの時、点心てんじんでありました。膳に向ってのりのようなおかゆのようなものを一心に食べていました。その食事の鼻先へ、ムク犬があえぎ呻ぎ逃げ込んで来ました。