火龍かりゅう)” の例文
新字:火竜
と、うずたかくれ草をつんで、ぱッと火をはなった。みるまに、うずまく煙は楼門をつつみ、紅蓮ぐれんほのおは、百千の火龍かりゅうとなって、メラメラともえあがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百千の火龍かりゅうは、かの女の肩の上から、メラメラッと音を立てて、近づいてくる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
カアーッと、あかいガラスで見るように、小屋いちめんが、まッに見えたかと思うと、火龍かりゅう気味きみわるくしたをひそめて、暗澹あんたんとまッ黒なうずをまいて、二つのおどるかげも、煙のなかに見えなくなる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)