漢籍かんせき)” の例文
と驚いて大声に答えた伊吹大作、ふすまを引いてかしこまると、大岡越前守忠相はもうきちんと正座して書台の漢籍かんせきに眼をさらしている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
今夜はまたとても高踏的こうとうてき漢籍かんせきの列子の中にあるというふちの話を持ち出して父は娘に対する感情をカモフラージュした。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ある小さな銀行の常務取締だったが、銀行には一週に一度より出勤せずに、漢籍かんせきと聖書に関する書物ばかり読んでいた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
漢籍かんせきを積んだ床の間を背にした慷堂は、砂馬が「じじい」とか「じいさん」とか言っていたのから想像したほどの老人でもなかったが、小柄な痩身そうしんはいかにもじじい臭く
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「先生には漢籍かんせきを習った時代から信用がございませんでしたからな」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一、西洋書、漢籍かんせき同様売買自在に御座ありたき事
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「はゝあ、漢籍かんせきもお出来でしたか?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)