演舌えんぜつ)” の例文
わかり切った事に今更らしく理窟をつけ論文を書き演舌えんぜつをなす天下泰平の遊戯冗談もここに至って窮状むしろ憐れまずんばあらず。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「おれには、そう舌は廻らない。君は能弁だ。第一単語を大変たくさん知ってる。それで演舌えんぜつが出来ないのは不思議だ」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
原の真ン中へ出て行った小次郎は、そこに立つと、吉岡門下の四十名ばかりの者を、例の高慢な態度で見くだして、なにか演舌えんぜつしているらしいのである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と声高らかに演舌えんぜつしました。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
今日は晩に演舌えんぜつをするというので例になく立派なフロックを着て、洗濯し立ての白襟カラーそびやかして、男振りを二割方上げて、「少しおくれまして」と落ちつき払って、挨拶をする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「諸公!」とこぶしを振って、演舌えんぜつした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
骨を折って失敗するのはだと悟ったから、近頃では宿命論者の立脚地から人と交際をしている。ただ困るのは演舌えんぜつと文章である。あいつは骨を折って準備をしないと失敗する。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)