滑稽味こっけいみ)” の例文
しかしこの芝居にはそんな因縁は全然省略されているから、鶏のまねが全く唐突で、悪どい不快な滑稽味こっけいみのほうが先に立つ。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのくせ鼻は丸く安座あぐらをかいていて小さい目は好人物というより、滑稽味こっけいみのある剥身むきみに似た、これもけんそんな眼だ。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
高巾子こうこじ」という脱俗的な曲を演じたり、自由な寿詞じゅし滑稽味こっけいみを取り混ぜたりもして、音楽、舞曲としてはたいして価値のないことで役を済ませて
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ただ、このお芝居で、私の最もあやぶんだのは、これらのドラマチックな方面ではなくて、最も現実的な併し全体から見ては極めて些細ささいな、少し滑稽味こっけいみを帯びた、一つの点であった。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
眼瞼まぶたの妙にれぼったいような顔をした男で、見るから一種の滑稽味こっけいみを帯びていたが、芸風はあくまでもすっきりしていて、ちっとも悪ふざけやくすぐりなどをする様子が見えなかった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今の子供らがおとぎ話の中の化け物に対する感じはほとんどただ空想的な滑稽味こっけいみあるいは怪奇味だけであって
化け物の進化 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
小宮君も注意したように恋の句、ことに下品げぼんの恋の句に一面滑稽味こっけいみを帯びているのがある。これは芭蕉前後を通じて俳諧道に見らるる特異の現象であろう。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
大きな顔に不均整な黄斑が少しあるのが、なんとなく滑稽味こっけいみを帯びて見える。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いくらか滑稽味こっけいみさえ帯びた音だけが聞こえる。
病院の夜明けの物音 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)