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淼々
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びょうびょう
ふりがな文庫
“
淼々
(
びょうびょう
)” の例文
「お光ちょうい。内のお光ちょうい」。老夫婦が力の限り
根
(
こん
)
限り叫ぶ声は
徒
(
いたずら
)
に
空明
(
くうめい
)
に散ってしまって、あとはただ
淼々
(
びょうびょう
)
たる霞が浦の水渦まいて流れるばかり。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
熊野では、これと同じ事を、
普陀落渡海
(
ふだらくとかい
)
と言うた。観音の浄土に往生する意味であって、
淼々
(
びょうびょう
)
たる海波を
漕
(
こ
)
ぎきって到り
著
(
つ
)
く、と信じていたのがあわれである。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
風は
淼々
(
びょうびょう
)
たる海面から吹き上げて来て空の中で鳴った。風の
仕業
(
しわざ
)
か雲の垂幕は無数の渦を絡み合せながら全体として、しずかにしずかに、東の方へ吹き移されて行く。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
淼々
(
びょうびょう
)
と
湛
(
たた
)
えられた湖の岸には町の人達、老若男女が湖水を
遥
(
はる
)
かに見渡しながら
窃々
(
ひそひそ
)
話に余念がない。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
遥に北の方を眺むれば、常見る霞が浦
俄
(
にわか
)
に浮き上ったように、水
淼々
(
びょうびょう
)
として遥に
天腹
(
てんぷく
)
を
浸
(
ひた
)
し、見ゆる限りの陸影皆小く沈んで、唯遥に筑波山の月影に青く見えるばかりだ。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
折柄満月が空に懸かり、
淼々
(
びょうびょう
)
たる海上は波平らかに、銀色をなして拡がっている。塁々と渚に群立っている巨大な無数の岩の上にも、月の光は滴って薄白い色におぼめいている。
赤格子九郎右衛門
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「二日、三日ないしは五日、どのように水を潜ったところで、
淼々
(
びょうびょう
)
と広い湖のこと、そんな小さな石の棺、あるともないとも解りませぬ。が、
私
(
わっち
)
の
感覚
(
かん
)
から云えば、まずこの辺にはござんせんな」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
淼
部首:⽔
12画
々
3画
“淼”で始まる語句
淼漫
淼茫
淼