淫売じごく)” の例文
旧字:淫賣
たいそうによろこんで、おれ仕手方してかたを使い、棟梁とも云われる身の上で淫売じごくを買ったと云われては、外聞げいぶんが悪いから、相対あいたい同様にしてえと云って
大次郎は悪い家へ這入ったので、こゝの家の表看板は料理屋ですが内実は淫売屋じごくやでした。江戸時代に夜鷹は黙許されていましたが、淫売じごくはやかましい。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おのれ、淫売じごくめ! よくもよくも、人の仕事の邪魔をしおったな! 貴様がイングリード・アイネスだと、知らぬ俺だと思ってたのか! よくもよくも妻を
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「こんな着物が着たさに淫売じごくをしているのだなあ」と思うとつばきを吐きかけてやりたい気になりながら、私は鳶衣とんびそでで和らかにお宮を抱くような格好をして顔をのぞいて
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
の子の云うには、私もねえ元は立派な御用達ごようたしの娘でございますから、淫売じごくをしたと云われては世間へきまりが悪いから、惚合ほれあって逢ったようにして
きまった一人の旦那を守っているのでは無いらしく、大勢の男にかかり合って一種の淫売じごく同様のみだらな生活を営んでいるのだと近所ではもっぱら噂された。
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私も淫売じごくのことで柳沢と喧嘩をするでもあるまいと、胸をでながら家外そとに出た。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
御用達のお嬢さんだから喰わずに居ても淫売じごく同様な真似はしないと、よく御覧、近辺の小商あきないでもして、可なりに暮して居るものでも、小綺麗こきれいな娘があればみんな旦那取りをして居るよ