淡鈍うすにび)” の例文
そんな物の間から見えるのも女房たちの淡鈍うすにび色の服、黄色な下襲したがさね袖口そでぐちなどであったが、かえってえんに上品に見えないこともなかった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
淡鈍うすにび色のあやを着て、中に萱草かんぞう色という透明な明るさのある色を着た、小柄な姿が美しく、近代的な容貌ようぼうを持ち、髪のすそには五重の扇をひろげたようなはなやかさがあった。
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そんなことで妻は生涯しょうがい心から打ち解けてくれなかったのだなどと、源氏は悔やむのであるが今はもう何のかいのある時でもなかった。淡鈍うすにび色の喪服を着るのも夢のような気がした。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏が座敷の中を見まわすと几帳きちょうの後ろとか、襖子からかみの向こうとか、ずっと見える所に女房の三十人ほどが幾つものかたまりを作っていた。濃い喪服も淡鈍うすにび色も混じっているのである。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
淡鈍うすにび色の喪服を玉鬘は祖母の宮のために着ていた。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)