淡島あわしま)” の例文
この子はアシの船に乘せて流してしまいました。次に淡島あわしまをお生みになりました。これも御子みこの數にははいりません。
本堂から淡島あわしまさまのほうをまわってみた、けれども此処ならという処がどうしてもみつからないのである。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
観音堂に向って左は境内で、淡島あわしまのお宮、花やしき、それを抜けると浅草田圃たんぼで一面の青田であった。
即ち、淡島あわしまさま前なる小池は、田圃に於ける掻堀かいぼり同様、泥まみれの老若入り乱れてこね廻し居けり。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
一人相撲であり、籠抜けであり、デロレン左衛門であり、丹波の国から生捕りました荒熊であり、唐人飴とうじんあめのホニホロであり、墓場の幽霊であり、淡島あわしまの大明神であり
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこで宿屋の主人の世話で、九郎右衛門は按摩あんまになり、文吉は淡島あわしまの神主になった。按摩になったのは、柔術の心得があるから、按摩の出来ぬ筈はないと云うのであった。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
長吉はいつも巡査が立番たちばんしている左手の石橋いしばしから淡島あわしまさまの方までがずっと見透みとおされる四辻よつつじまで歩いて来て、通りがかりの人々が立止って眺めるままに、自分も何という事なく
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこには森厳寺という寺があって、その寺中に淡島あわしま明神のやしろがあります。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
道理で、五重の塔がある、淡島あわしま堂がある。弁天べんてん山の鐘楼しょうろうがある。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
混雑のなかをくぐって、四人はひとまず淡島あわしまやしろあたりへ出た。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)