ほとり)” の例文
思ひ煩へる事さへも心自ら知らず、例へば夢の中に伏床ふしどを拔け出でて終夜よもすがらやまいたゞき、水のほとりを迷ひつくしたらん人こそ、さながら瀧口が今の有樣に似たりとも見るべけれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
こゝにこの水流るゝがために、水を好む野茨のばら心地ここちよく其のほとりに茂って、麦がれる頃は枝もたわかんばしい白い花をかぶる。薄紫の嫁菜よめなの花や、薄紅の犬蓼いぬたでや、いろ/\の秋の草花も美しい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)