海老錠えびぢやう)” の例文
牢屋のやうな恐ろしく嚴重な格子戸に、大一番の海老錠えびぢやうをおろして、薄暗い六疊ほどの部屋の中には、何やら黒いものがうごめきます。
海老錠えびぢやうのおりた本殿ほんでんの扉が向ふの方に見えて、薄暗い中から八寸ぐらゐの鏡が外面そとの光線を反射してゐた。扉の金具かなぐも黄色く光つて、其の前の八足やつあしには瓶子へいしが二つ靜かにつてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
戌刻いつゝ(八時)には潜りの大海老錠えびぢやうをおろします。それから先は私が開けにかゝらなければ、外からは入れないことになつてをります」
さう言ひながら、大一番の海老錠えびぢやうの穴に鍵を差し込みました。が、鍵は錠の中に入つたまゝ右にも左にも動かうとはしなかつたのです。
廊下の出口——母屋への通ひ路ですが——其處には外から海老錠えびぢやうをおろさせ、鍵は下女のお吉が預つて居ります。
「總領の吉之助の入つてゐる座敷牢の海老錠えびぢやうと、この土藏の板戸の錠は、同じ鍵を使つてゐるさうです」
何んとも言はない平次の氣持をはかり兼ねたものか、途中から引つ返した樣子、聖天樣の入口の海老錠えびぢやうをあけたときは、平次と主人とたつた二人きりになつて居りました。
海老錠えびぢやうがすつかりさびついて、お勢が持つて來てくれた鍵を差し込んでも廻らうともしません。
けやきの厚板で組んだ、恐ろしく巖乘なもので、大一番の海老錠えびぢやうを卸してありますが、覗いて見るとよく底が見えて、穴のあいた小錢が五六枚あるだけ、何の變哲もありません。
一度、その入れ換へた鍵を、戻す暇がなく海老錠えびぢやうに合はなくてひと騷ぎをしましたが、主人の手から受取つて爺やの與八に渡すとき、お輝は自分の持つて居る眞物とり變へたのでした。
「え、念のために開けて見ようとすると、海老錠えびぢやうが拔けてゐましたよ」
もし、その間から例外を求めたとしたら、座敷牢に入つてゐる、總領の吉之助だけ、これは、格子の外の素晴らしい海老錠えびぢやうを見ただけでも、外へ出られなかつたことは明らかで、その海老錠の鍵は
形ばかりですが錆び付いた中形の海老錠えびぢやうがおりて居ります。