浮袋ブイ)” の例文
自動車のタイヤのやうな円い浮袋ブイもあれば、8の字のや、また、さるかめ鵞鳥がてうなどの首のついた、乗つて泳げる浮袋ブイなどもあります。
プールと犬 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
水夫も火夫もみんなポンプに掛り切っていて手が足りないんですから……浮袋ブイを離してはいけませんよ。仕事が出来ませんから……いいですか……
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
僕は、このまに船橋ブリッジの柱に架けてあった浮袋ブイを外して、それを身に着けた。何しろ、あと二、三分で、一千五百トンの汽船が、爆破して、木葉微塵こっぱみじんになるのだ。愚図愚図していられない。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
犬の飛びこんだすぐ向ふには、大きな鵞鳥の浮袋ブイにつかまつて、小さな女の子が三人、ひどくあわてて、泣き声をあげてゐたからです。
プールと犬 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
それから船橋ブリッジの前にブラ下げて在った浮袋ブイ一個ひとつ引っ抱えて上甲板へ馳け降りた。船尾から落ちた連中をたすけて水舟に取付かせてやるつもりだった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
僕は、ただ一人、浮袋ブイに身を托して、はてしない洋上を、浪に漂わねばならないのだ。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
小さい子は波にゆられて、出ることも立ち上ることも出来ないで、浮袋ブイにつかまつたまま、アツプ・アツプしてゐます。
プールと犬 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
しかも、浮袋ブイ一つに生命を托して、ひょうひょうと巨浪に飜弄されている。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)