泥亀どろがめ)” の例文
旧字:泥龜
石段を登り切ったところで、哀れな乞食は、おかの上へあがった泥亀どろがめのように、臆病らしく四下あたりを見廻していたが、するうちまた這い歩きはじめた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
自らその蛮勇なしとかえりみたならばいたずらいた電車を待つよりも、泥亀どろがめの歩み遅々ちちたれども、自動車の通らない横町よこちょうあるいは市区改正の破壊をまぬかれた旧道をてくてくと歩くにくはない。
橋の下の泥亀どろがめ
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)