あのお方はなんだって、今頃こんな淋しい所にぽつねんとしているのかしら? と、法月弦之丞のりづきげんのじょうの悩みを知らぬお綱には妙に思えた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その後、かれは、阿波守が安治川屋敷を引きあげたと聞いて、ソッと平賀源内の住居すまいを訪れ、そこで、法月弦之丞のりづきげんのじょうの話をきいた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょうとやら、たとえ夕雲せきうんの使い手にしろまさか天魔神てんまじんでもあるまいに、遠巻きにするの山狩のと、いやはや仰山ぎょうさん千万だ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょうは、松平家から火急な使者をうけて、いよいよ吉報と、よろこんで駈けつけたが、不思議や、そのまま行方不明となってしまった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆくりなく、恋人の祖先にめぐり会ったような心地がする。そしてそこに、なお道しるべの文字を見入っていた虚無僧は、法月弦之丞のりづきげんのじょうなのであった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
背丈せいのスラリとした輪郭りんかくと、手に尺八をたずさえているところから察しても、それは同宿の虚無僧、法月弦之丞のりづきげんのじょうと分る姿。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「決して、お案じなさる者じゃございません。あなた様のよくご承知な、法月弦之丞のりづきげんのじょう様からの使いで、大事な用をおびてまいった者でございますから」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしは山科やましなの僧院にいる寄竹派きちくは普化僧ふけそうです。同じ僧院に、法月弦之丞のりづきげんのじょうというものが近頃まいっておる。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沼島ぬしまの沖合で、法月弦之丞のりづきげんのじょうとお綱とが、暴風雨あらしの狂瀾を目がけて身を躍らせたので、とうとう、それなり海のもくずになったであろうという三位卿の報告は、かれをして
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょう刺止しとめるまでの目的だろうに、わらじ、野袴のばかま編笠あみがさという、本格の支度をしているのは天堂一角だけで、周馬は笠なし、お十夜は、笠もわらじも嫌いだといって
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょうという者だが、その名前では覚えがなかろう。そうだ、ちょうど去年の夏ごろ、この立慶河岸をよく流していた、一節切ひとよぎりの巧みな虚無僧といえば思いだす筈……」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょうの胸もとへ、誰か、いきなりぶつかってくるなり、うしろへ身をちぢこめて
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょうは、猫間川のつつみに上って、往来の人影を見廻した。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞のりづきげんのじょうがツイ鼻の先に来ているぞ」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)