沸返にえかえ)” の例文
また、はしの倒れた事でも、沸返にえかえって騒立つ連中が、一人それまで居なかったのを、誰もいッつけ口をしなかったもあやしいよ。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貞之進の肚裡はらのうちは一層二層三層倍に沸返にえかえって、突然いきなりその手紙を取って丸め、丸めたのを噛んで前なる川へほうり込み、現在封を破った上で、持って帰ればいゝとはどこがいゝ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
折からぶつぶつと湯の沸返にえかえりて、ぱっと立ちたる湯気に驚き、少年はあわただしく鉄瓶のふたを外し、お貞は身をななめになりて、茶棚よりあかがねの水差を取下して急がわしく水をしつ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)