河魚かわうお)” の例文
水に住むと言えば、この人に親しみのあるのは、池に飼うこいか、王滝川まで上って来る河魚かわうおぐらいに限られている。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
人の気配もせぬので、のぞいて見るとすみっこの青くいたサイダー瓶の棚の前に、鱗光りんこう河魚かわうおの精のようなおやじが一人、しょぼんと坐っていた。ぼうと立つのは水気すいきである。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
河魚かわうおのごとく躍って各務房之丞のびんをかすめ、ガッシ! とうしろの樹幹に突き立ったから、ここに月輪の残士たち、はじめて短秒間のおどろきから立ちなおって、一団にかたまりあっていたのが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)