沓音くつおと)” の例文
程なく多くの足音聞ゆる中に、沓音くつおと高くひびきて、烏帽子ゑぼし七七直衣なほしめしたる貴人、堂に上り給へば、従者みとも武士もののべ四五人ばかり右左みぎひだりに座をまうく。
そして、沓音くつおと騷がしく編輯局に入つて行つた。我々も一緒に立つた。が、何時もの癖で、立つた機會に欠伸あくびをしたり、伸びをしたりして、二三人會議室の中に殘つた。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
じっと家兄に睨みつけられると、不平満々ながら、やがて沓音くつおとを鳴らして立去ってしまった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしは別れ もはや遠くあなたの沓音くつおとを聽かないだらう
定本青猫:01 定本青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
まもなく大勢の足音が聞こえたが、その中でひときわ高く沓音くつおとをひびかせて、烏帽子えぼし直衣のうしを召した貴人がお堂におあがりになると、おつきの武士四、五人が、その左右に座をしめた。
関羽が呆れ顔した時、室の外に誰かの沓音くつおとが聞えた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)