水棹みずさお)” の例文
水棹みずさおを取り上げて、ガバと打ってかかるのを、身を開いて、ツ、ツ、ツ、懐へ入ると見るや当身一本、船頭は苦もなく水垢あかの中にります。
水棹みずさおしていつもするようにへさきを砂浜によせ、母親の乗りこむのをまっている大吉の横顔に、いつもとちがったことばがいち早くとんできた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その水棹みずさおの音と混同されたかも知れないこと、などを御一考願い度いと存じます。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
船頭は水棹みずさおを張って舟を出し、舳を東へ向けて艫を立てた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
水棹みずさおを取り上げて、ガバと打ってかかるのを、身を開いて、ツ、ツ、ツ、懐へ入ると見るや当身一本、船頭は苦もなく水垢あかの中にります。
陸地がすうっとすべるように近づいたと思うと、船はもうなぎさちかく寄っていた。ふなれな手つきで水棹みずさおす大吉と、見なれぬ大石先生に、昔どおり村の子どもはぞろぞろ集まってきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)